この歳になって、ベランダで野菜や植物を育て始めました。夫はずっと前から観葉植物や多肉植物を育てていて、いわば植物の先輩なのですが、私自身は若い頃にはまったく興味がなくて、今更ながらのスタートです。
初めて種を蒔いたときのことは、今でもよく覚えています。気になって気になって、寒い時期だったので部屋の中で育てていたのですが、毎日毎日見に行っては、毎日毎日水をやっていました。一週間もすれば芽が出るだろうと思っていたのに、全然出てこない。結局ダメになってしまったり、土に植え替える前は順調だったのに植え替えた後にうまくいかず、諦めてしまったり。ところが気温が上がってきた頃に、捨てたはずの土からひょっこり芽が出てきたこともありました。望んだ通りには行かないものだな、芽が出るのも気まぐれなんだな、としみじみ感じたものです。
ジャガイモの挫折——手をかけたのに実らなかった話
特に印象深かったのは、ジャガイモ栽培の経験です。葉っぱの部分はすごく茂って、順調なんだろうなと思っていました。花芽も出てきて、つぼみもついて、中に花びらの色まで見えていたのに、花が開かなかったのです。そのまま枯れてしまったようでした。
それでも葉っぱは枯れなかったので、水分量を調整しながら、もしかしたら土の中で芋が育っているんじゃないかと期待していました。花が咲く頃から一ヶ月ほどが収穫の時期と言われているそうなので、一ヶ月ちょっと経ってから掘ってみたのですが、結果は散々でした。芋ができるために必要な地下茎がほとんど伸びておらず、芋は一つもできていなかったのです。
芽かきも行い、土寄せも三回ほどして、十分な手入れはしていたはずでした。種芋の養分はすべて葉っぱに取られてしまったような状態でした。ジャガイモは酸性の土壌を好むということで、事前に自分で材料を揃えて土を作ったのですが、それが良くなかったのかもしれません。来年はジャガイモ用の培養土を購入して、もう一度挑戦してみようと思っています。アルカリ性に傾くと病害が出やすいようなので、そこは気をつけたいところです。
水のやりすぎ、光の不足——よかれと思ったことが裏目に
夫も以前、植物を育てていたときに気になりすぎて毎日毎日水をやり、根腐れさせてしまったことがあったそうです。多肉植物も徒長してしまって、日光——紫外線の量が足りなかったのでしょう。
私はその枯れかけた多肉植物を譲り受けて、今、室内で育てています。植物育成用のLEDライトを準備し、しっかり光を当てるようにしたところ、徒長もせずにいい感じに大きくなってきました。もともとの元気だった状態に近づきつつあり、枯れそうだったところから一つ、また一つと新しい芽が伸びて、今は二つほど順調に育っています。
今はベランダでトマトも育てています。ミニトマトは部屋の中で、大玉と中玉のトマトはベランダで何株か育てていて、いくつか大きな実がなり始めているところです。トマトは乾燥地帯が原産なので、水を控えめにやるほうが甘くなると言われていますね。初期の頃は水も肥料もしっかりやっていましたが、実がなり始めてからは毎日水やりをするのをやめて、土が乾いたらやるというペースに変えました。多少しおれても、水をやればピンと葉が伸びてシャキッとした姿に戻ります。バジルをコンパニオンプランツとして一緒に植えてはいるものの、やりすぎは禁物です。
虫除けも、農薬は使わずにニームオイルを薄めに希釈して時々噴霧しています。以前は毎日とか三日おきにやっていたのですが、それも毎日でなくてもいいかもしれないと思い、今は一週間から二週間おきに様子を見ながらやるようにしています。
植物のペースを信頼すること、人との関わりも同じかもしれない
こうしてベランダ菜園を続けるうちに、少しずつ「待つ」ということを覚えてきました。以前は気になって気になって、つい手を出しすぎていました。でも自分が思う最高のやり方でお世話をしても、それが植物に合っていなければ、思ったような結果にはならないのです。植物は、私たちの都合では育ってくれません。
毎日のぞき込んで植物の顔色を見つつも、植物自身のペースを信頼しながら育てていく。少しお世話をしたら、少し離れて見守る。それが、もしかしたら一番いい植物との付き合い方なのかもしれないと、最近ようやく思えるようになりました。
そしてふと思うのです。これは、人や物事に対しても同じことが言えるのではないかと。たくさん水をやったから、たくさん肥料をやったから、たくさん手をかけたからといって、期待する結果にすぐつながるとは限りません。五十年以上生きてきて、このシンプルなことに今更気づかされるのですから、植物というのは本当にいい先生です。
みなさんも、よかれと思って手をかけすぎてしまった経験はありませんか? そしてそのとき、少し手を離して「待つ」ことで、かえってうまくいったことはないでしょうか。

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