使いどころがなかった簿記の資格が、思わぬところで大活躍した話

自分のキャリアに活かそうと思って取得した日商簿記2級。若い頃、システム関連の仕事をしていた私は、業務に役立つだろうと意気込んで勉強しました。ところが、実際の仕事ではほとんど使う機会がないまま、年月だけが過ぎていきました。「せっかく頑張って取ったのに、もったいなかったな」と、正直なところ少し後悔していた時期もあります。

ところが、50歳を過ぎた今になって振り返ると、この資格は思いもよらない場面で大きな力を発揮してくれました。人生って本当に何が役に立つかわからないものですね。

夫の開業で簿記の知識が花開いた

夫はかつてサラリーマンでしたが、一念発起して専門学校に通い、修行を積んだのちに個人事業主として独立しました。まさか夫が独立するなんて、簿記の資格を取った当時はまったく想像もしていませんでした。

個人事業主にとって、お金の管理や税金に関する知識は避けて通れません。特に確定申告や減価償却、複式簿記の理解は必須です。たとえば青色申告の特別控除は非常に大きいのですが、この控除を最大限に受けるためには、きちんとした簿記の知識が必要になります。

「じゃあ専門家にお願いすればいいのでは?」と思われるかもしれません。でも、控除できる所得税の額と、専門家に依頼したときに支払う報酬を比べてみてください。知り合いに頼んだ場合でも、確定申告の決算書作成だけで15万円ほどかかることもあります。どちらが手元にお金が残るかは、一目瞭然ではないでしょうか。

私が夫に帳簿のつけ方や確定申告の方法をアドバイスしたことで、専門家に頼ることなく開業の手続きを進めることができました。開業にかかるお金は数十万円は節約できたと思います。これは、私が簿記の学習にかけたお金よりもずいぶん大きな金額でした。夫が素直に勉強してくれたのも、本当にありがたかったです。

自分で記帳することが身を助ける

夫は開業当時、簿記の知識がほとんどありませんでした。でも、私が少しずつ教えていくうちに、ひとりで事業の経理を回せるようになっていきました。

特に効果が大きかったのは、減価償却を上手に活用できたことです。コロナの時期にはお客さんが減ってしまい、売上が落ち込んだことがありました。そのとき、償却のタイミングを工夫して利益を小さく調整し、節税につなげることができたのです。こうした判断は、簿記の基本を理解していればこそできることだと実感しました。

ちなみに、白色申告でも申告しないよりはずっとよいですし、60点くらいの合格点はあると思っています。でも、せっかく手間をかけるなら青色申告を目指したいところです。青色なら80点。控除額の差を考えると、そのひと手間は十分に報われます。

オンライン化で日々の経理がぐっと楽に

日々の記帳についても、最初は私がまとめて入力していました。紙のノートによく使う仕訳を鉛筆で書き出して、夫に参考にしてもらいながら、徐々に本人ができるようになっていきました。

会計ソフトも時代とともに変化しています。開業当初は買い切りのソフトを使っていましたが、現在はオンラインの会計ソフトに切り替えました。職場に固定のネット回線を導入し、セキュリティもしっかり整えたことで、バックアップの自動化も実現できています。

この変化で一番大きかったのは、職場で毎日記帳ができるようになったことです。買い切りソフトの頃は自宅のパソコンでしか作業ができなかったため、休みの日をつぶして記帳するしかありませんでした。それが今では、仕事の合間に少しずつ入力できるようになり、負担が大幅に減りました。

オンラインのサービスは便利ですが、よく調べずに高額なコンサル料やサービスにお金を使ってしまうのはもったいないことです。使わなくてすむ経費は節約して、本当にかけるべきところに手厚く使う。そうすればお客さんにも喜んでもらえますし、自分自身も働きやすくなり、手元にお金が残ります。

個人事業主にとって、簿記の知識は開業時だけでなく、日々の業務を支え続けてくれる心強い味方です。私自身、まさか若い頃に取った資格がこんなかたちで活きるとは思ってもいませんでした。人生の後半に差しかかって思うのは、「無駄な学びなんてひとつもなかった」ということです。みなさんも、かつて学んだけれど使っていない知識やスキルはありませんか?もしかしたらそれは、思いがけないタイミングで花開く日を静かに待っているのかもしれませんよ。

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