集団心理から自分を守る——無理してつながらなくていい、という選択

距離をおく

人とのつながりは豊かな人生に欠かせない。そんなふうによく言われますよね。でも、友達が多いからといって、本当に安心や安全が守られるのでしょうか。

私は子どもの頃、友達づくりに散々失敗してきました。その経験から、人と無理して関わらなくてもいいということや、個人情報を守ることの大切さを身をもって学びました。50年以上生きてきた今だからこそ振り返れる、中学時代のほろ苦い記憶。今回はそんな昔の自分をなぐさめるつもりで、少し書いてみようと思います。

友達づくりの失敗と、仲間に入れなかった日々

中学生の頃、ある女の子と仲良くなりたくて、気を引こうと背中をタッチしながら話しかけていました。彼女はいつもニコニコしてくれていたので、嫌がっているなんて思いもしなかったのです。ところがある日、彼女のお母さんから私の母に「タッチされるとびっくりするので触れるのはやめてほしい」と苦情が入りました。

傷つけていたことに、まったく気づいていなかった自分にひどく落ち込みました。人の気持ちを想像することの難しさと大切さを、あの時初めて痛感したように思います。どうしたら他の女子たちのように仲良くしてもらえるのか、ずいぶん悩みましたが、結局、仲良しグループに入れてもらうことはできませんでした。

でも強がりに聞こえるかもしれませんが、今振り返ってみると、無理に仲間に入れてもらわなくて良かったのかもしれません。もし仲良くできていたら、もしかしたら楽しい思い出もできたかもしれませんが、きっとそれ以上に心がすり減っていたでしょう。自分の行為が相手に嫌がられていたと気づけたこと、それ自体が大きな学びだったのだと、今ならそう思えます。人付き合いが苦手なことは仕方がない。無理しなくていい。そう自分に言い聞かせられるようになるまで、ずいぶん長い時間がかかりました。

大切なものが壊されるということ

ある日、お気に入りのCDを友達に貸す約束をして学校に持って行きました。まぁ、そもそも学校に持って行っては行けなかったのですが。ところが、移動教室で教室を離れている間にCDケースがバキッと割られていたのです。カバンの中に入れていたのに、誰かがわざわざカバンを漁って、上から踏みつけたようでした。幸いCDは盗まれておらず、音楽を聴くことはできました。しかし、何がそこまでさせたのだろうと、当時の私には理解できませんでした。今思い返すととても恐ろしいですね。

一瞬だけカバンから取り出して見たところを見られていたのかもしれません。他人が自分の大切なものを勝手に触り、壊すことがある。そして、壊れたことに気づく私の様子を楽しむ人がいる。面と向かって「嫌い」と言われなくても、それを悟るには十分すぎる出来事でした。犯人捜しをするよりも、貴重品は肌身離さず持っておくほうがずっとスマートです。ちょっと気をつけるだけで、未然に防げたかもしれないのですから。しかし世の中は良い人がほとんどなのだとは思えない体験となってしまいました。

この経験は、生徒会選挙での苦い思い出ともつながっています。私の中学校では、生徒会に立候補する人をクラスの多数決で選ぶ文化がありました。なぜか私が推薦され、担任の先生にも背中を押されて、みんなが選んでくれたなら当選するのだろうと思い込むことで、しぶしぶ立候補しました。結果はたったの2票。がっかりしたというか、やっぱりなというか。投票してくれた友達には感謝していますが、推薦した人たちが必ずしも本気で支持してくれるわけではないのだと、身をもって知りました。他にふさわしい人がいたのですから、自分の本心に従って断る勇気も大切だったのです。他人の言葉をあてにせず、自分でよく考えて判断すること。それもまた、あの頃に学んだ教訓のひとつです。

自分を守るために、距離を置くという知恵

通信簿を他人に覗かれた経験はありますか。私はあります。しかも、数年経ってから別の人に教えてもらって初めて知りました。自分の席でほんの少しの間だけ開いて見ていたのを、後ろの席の男子がこっそり覗いていたそうです。まったく気づきませんでしたし、その場で声をかけて教えてくれる人もいなかった。自分の人望のなさが情けなくもありました。今はスマホであらゆる情報が見られる時代です。個人情報の覗き見には、昔以上に注意を払わなければいけませんね。

人とのつながりを大切にすることは、たしかに豊かな人生につながります。でもその一方で、馴染んでいない自分を守るためには気づかないうちに敵意が向くこともある。寂しさを覚悟して距離を置くことも、立派な選択だと思うのです。自分に合った人間関係の築き方を意識して、個人情報の扱いにも気を配りながら、よりスマートに暮らしていきたいものです。友達づくりは年齢を重ねるほどにハードルが上がりますが、もし自然なご縁があれば、それはきっと大切にしたいですよね。幸い仲良くしてくださる方は職場にいるので大切にしたいものです。

みなさんは、人との距離感で悩んだ経験はありますか。無理してつながることと、思い切って離れること、どちらが自分を守ってくれましたか。もしよければ、少し立ち止まって考えてみていただけたらうれしいです。

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